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IEDIT的どちらも大切が美しい女(ヒト)ランゲージ・アーティスト イチハラヒロコ

自分の"好き"を大事にしたら、人生、おもしろいで~。

~ランゲージ・アーティスト イチハラヒロコさんに聞きました。~

「すきなら好きと、言えよ。」など、文字(言葉)だけで、美術作品を制作していらっしゃるイチハラヒロコさん。茶目っ気たっぷりのチャーミングなお話しぶりと、ユーモラスな身振りと、人間の本質にグイグイ迫る鋭さと。あれよあれよと、引き込まれ、魅了され、思わず吹き出したり、共感したり、シリアスになったり......と、心が忙しく動いたインタビューになりました。笑いの中に、大事なことがくっきりと。"愛と笑い"のイチハラヒロコ・ワールド炸裂!です。

イチハラヒロコさんのこれまでの展示から
「君さえいれば この世はヘブン。」
ランゲージアーティストイチハラヒロコ

「伝えたいことは何?」

学んでいた芸大では、月1度、先生がずらっと並ぶ前で学生が作品を発表する合評会なるものがありました。「キリンを描きました、今月はサカナを描いてきました」と絵を見せると「なぜキリンなのだね?」「サカナで何を伝えたいのだね?」と。ベレー帽をかぶってパイプをくわえた教授に毎月問い詰められるのです。「キリンとかって......遠いんだよ」って、ベレー帽とパイプは言うわけです。「え? 遠いって?何から遠いの?分からん~」って。「キリンで何を言いたいのか、サカナで何を伝えたいのか」考えたこともなかった。学生時代、もう惨敗です。中には「キリンの色がもうちょっと濃かったらいいのに」とか、表層を捉えただけの講評もあるんですね。でも表層の問題じゃないな、とは分かってたんです。

「あなたはどういう人ですか?」

合評会で浴びせられ続けた「何を伝えたいのだね?」という問いは、「そうか、"あなたは、どういう人ですか?"って訊かれてたんや」って。今なら分かります。人間の70%くらいは水でできてる、って言うやん??だったら、私の70%はキリンや、ましてやサカナではないはず(笑)。私の成り立ちは、やっぱり愛だ、と。そして、京都で生まれて、お笑い番組を見て育った私の愛には笑いが混じってる、確実に。愛だけをテーマにした作品は、すでにほかの人がやっていそう......そうだ「愛と笑いが私らしい、それができるのは私しかいないかも」。"愛と笑い"を作品のテーマにしよう、と決めました。

イチハラヒロコさんのこれまでの展示から
「おかげ様で天下無敵。」
イチハラヒロコさんの作品

「心、動いてる?」

作品自体は大事やないんです。観た人がキュンってなったり、熱くなったり......それが素晴らしい!?いちばん大事なのは心が動くこと。そうしたら作品は、「私の心が動いた、私にとっての大切な作品」になっていくやん。人には、それぞれの"好き"があるよね。その"好き"っていうのは、その人だけのもの。それを大事にしてみたら、おもしろいで~っていう、話。 前進でなくてもいい、後退でも撤退でも、動いてるほうがいい。どうしようもないのは、フリーズ。だって心が止まってるってことでしょう、感じないってことやん??悲しみもない代わりに、ときめきも捕まえられない。いや、悲しみでもあったほうが、何も感じないよりいい、と私は思う。

イチハラヒロコさんのこれまでの展示から
フェリシモコラボ「イチハラヒロコアートタクシー」
アートタクシーコラボ

「変わる? 変わらない?」

たとえば、歳をとって丸くなったね、とかいうように、人は変わっていくと仮定します。でも玉ねぎの皮みたいに一枚一枚表層を剥いでいくと、最後の最後に何かひとつ、人間としての"芯"が残るかな、と。それを作品にしているつもりではあるんです。
移ろわない"芯"って大事。でも刺激を求めたり、影響を受けたりといった、外との関わりがないと人の営みは成立しません。外へと興味を広げて吸収していくのと同時に、芯の純度を上げていく......内なるものと、外へと向かっていくものと、その両者のやりとりの兼ね合い--バランスがとても大事。純度が高くないと見つけられないものがあるんちゃうかな、と。あ、今、めっちゃ美しく着地したんとちゃう?(笑)

今回ご紹介した作品について

「おかげ様で天下無敵。」
(マキハウスショールーム 福岡・天神のモデルハウスの壁面にカッティングシート2009年)

「君さえいれば この世はヘブン。」
(山口県秋吉台国際芸術村 ガラスにカッティングシート 2010年)

「イチハラヒロコアートタクシー」
(京都国際映画祭2017・カッティングシートに印刷 2017年)

PROFILE

イチハラヒロコプロフィール

イチハラヒロコ

1963年京都生まれ。'85年、京都芸術短期大学(現京都造形芸術大学)ビジュアルデザイン専攻科修了。'88年より言葉や文字をモチーフに作品を制作。豊田市美術館、水戸芸術館、東京都現代美術館、京都国立近代美術館等で作品発表する一方、百貨店の工事仮囲いやスケートリンクに文字を描くなど、屋外展示も多数。また大阪の布忍神社に「恋みくじ」を設置したり、イギリスとオランダのショッピングセンターで「万引きするで。」と書かれた紙袋を2,000枚配布するパフォーマンスをするなど、その活動はユニーク。 作品集に『この人ゴミを押しわけて、はやく来やがれ、王子さま。』(アリアドネ企画)『雨の夜にカサもささずにトレンチコートのえりを立ててバラの花を抱えて青春の影を歌いながら「悪かった。やっぱり俺...。」って言ってむかえに来てほしい。』(三修社)などがある。

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